実話 怪奇譚

あの「「超」怖い話」で執筆していた<蜂巣敦(はちす・あつし)>氏の新刊。
このBlogでも情報を公開しておりましたが、なななんと!
実話怪談ではありませんでした。
すみません(汗)。だって、当初は(以下略)


どちらかというと、実話・不思議ナックルズに掲載されているルポルタージュや評論
をまとめたもの、と言えば判るだろうか?
もちろん、怪奇スポットに取材に言った話や有名怪奇譚に関する情報もある。
が、皆が期待する「実話怪談」ではない。


だったらつまらないのか?と問われれば、はっきりと答えよう。
これが結構『面白い』と。


猟奇事件を始めとする社会の暗部を鋭いメスで抉るような書籍を書き続けた蜂巣氏
の新刊である。面白くないはずがない。
カニバリズムネクロフィリアなどを含んだ事件のルポ、映画やコミックに対して
の評論などバラエティーに富む内容なのだが、実はある共通のキーワードがある。


それは『猟奇』だ。


この『実話 怪奇譚』は<猟奇>というキーワードでまとめる事ができる。
文章が「猟奇的」なのではない。内容にテーマに「猟奇」があるのだ。
決して、蜂巣氏は面白がって書いているのではないだろう。
我々の「倫理」に関する部分に、ある種の警鐘を鳴らさんと書いている節がある…、
と私は思うのだ。


「超」怖い話を期待していると肩透かしを食らうであろう本作だが、
猟奇評論集としてお勧めできる一冊だ。
著者の言葉を借りるなら『投げやりでとりとめのない思考実験』の為に。

怪奇譚 (ちくま文庫)

怪奇譚 (ちくま文庫)