金縛り ▼

▼今ひとつと評価する
昨今の怪談事情から言って、金縛りネタと言うのは中々難しいものだ。
正直「目が覚めたのに身体が動かせない」「周りに怖いものが見えた」「その最中に幽体離脱をした」などというパターンの話は、すでに実話怪談ファンからも飽きられている。
……はずだ(笑)。
今、金縛りネタを書くというのは、並大抵の体験談では無理だろう。


で、今回のこの話。
「心霊現象を信じない男が、数度の金縛りに遭い、最後は不思議なものを見、再び金縛りに遭い、<マジ金縛りあるって>と思う」話。
さて、これはこれまでに登場してきた金縛り談と変わらない。
最初に「信じない人」が出るパターンも使い古されているし。
面白かったのは「諸星大二郎」ネタくらいで、他は特に……である。


というところで、以下のリンク先を見ていただきたい。
「金縛り」
http://www.nazotoki.com/kanashibari.html
この話で起きた現象は、上記のリンク先で全て否定されている。
「睡眠麻痺」――――それが金縛りの正体である、と書かれている。
(それとは別に、日中でもどこでも眠く、金縛りに遭う人は「ナルコレプシー(過眠症)」という病気かもしれないとの事)


さて、だったら世の中の金縛りは全て「睡眠麻痺」で、実話怪談に出来ないのか?
いやいや、そんなことはない。
何故なら「睡眠麻痺」ではない、という証明があればいいのだ。
例えば、金縛り中に起こった出来事が原因で、何か物的証拠が残ったり、とか。
もしくは、覚醒時(仰臥していたりしないときがベスト)に突然金縛りに遭った上、何かおかしな出来事を体験するとか。で、尚且つ証明するものが存在する、とか。
複数人が同時に全く同じ現象に見舞われる、とか。
そういう金縛り談なら、面白いネタになるのではないだろうか?


「そんな事を言っていたら、誰も金縛りネタなんか書けなくなる」と言う声も聞こえてきそうだが、実際【実話怪談の書き手】になるのなら、ネタの吟味くらいはすべきなのだ。
金縛り現象がどういったものなのかを理解し、更に取材した話の取捨選択をきちんとしなくてはならない。
これを厳しいと取るか、それとも「納得する」か。
それは書き手次第である。