超」怖い話、著者についての考察(草案)

サイト用のコンテンツ(というか、「超」怖い話用の文章)の草案です。
目的は、新規参入読者のガイドの一助になるようなものに…ですね。
性格上、こういう文章は書いては治し書いては治しを繰り返す人間なので
とりあえずBlogにて先行発表をしておこうか、という。
更に手直ししてサイトに転載する予定なのですが、その時はインデックス
や注釈などを付ける予定です。
なお、名前の下、3行の短い文はまとめる為のアイデアのメモ。
このメモを基にして、まとめていったのが本文です。


専門の研究者でも、文学を専攻したわけでもない私なので、大きな勘違い
や表現・文法の間違い等有ると思います。
その辺りのご指摘・意見等ございましたら、宜しくお願い致します。

<ここから本文>

最初に、これは管理人の主観でしかないことをお断りしておきます。
こういった意見もある、程度に考えていただけると幸いです。

なおスポット参戦の著者に関しては、今回は割愛させていただきました。


・安藤 君平(薫平) <アヤシイハナシの語り手、黎明期の立役者>
語り伝える怪談
ニュースソースの明確化
方向性の決定付け


「超」怖い話・初代編著者である安藤氏の怪談は、「伝える為の怪談」と言えるだろう。
すなわち、我々が日常怖い話をする感覚に近い。
「山田に聞いたんだけどサァ……」と言う一言で始まるようなあれである。
怪談を語る時、我々の場合はFOF(友達の友達)といったパターンが多いが、安藤氏の
場合、ほぼご自身の事や友人・知人からの聞き取りで書かれたものが大半である。
FOFのような、又聞きであるが故の不明瞭な話は殆ど無い。ニュースソースを明らかに
し、実話怪談であることの必然性を打ち出した、言わば「超」怖い話の基本形であろう。
この安藤氏が「超」怖い話に残したこのベースラインが、この後に形を変えながらも脈々
と受け継がれていっている事はフリークならご存知の事と思う。

肝心の怪談の内容は「奇妙で不思議」なものが多いのが特徴。
今読み返すと刺激が少ないが、印象に残る話が多い。良質な「アヤシイハナシ」である。

風の噂だと、安藤氏担当分の再編集本が出る……という話があるのだが…。



・樋口 明雄 <安定感のある、骨太の正統派>
骨太の正統派。
ベーシック部分完成の立役者。
安定感


安藤氏の後を継いで、二代目編著者になったのは樋口明雄氏だ。
樋口氏は、続「超」怖い話「超」怖い話2)から新「超」怖い話7までの計7冊を担当
された(新書版を入れたら、8冊)。
氏の怪談は骨太で、一つの物語としての完成度が抜群に高い。実に安定した文章で怪異を
語りあげる。実話怪談でありながら、きちんと読ませることを大前提にしているからだろ
う。世の中には「実話怪談は不条理系で書けば、受ける」と勘違いした上、更に文章まで
不条理になってしまったお粗末なものが多い。だが、樋口氏は違う。話の内容が怖く・不
条理であっても、文章は至極真っ当でありツボを外さないのである。

樋口氏は、安藤氏の残した基本をブラッシュアップして、更に「怪談としての完成度」を
引き上げた功労者である。これによって、「超」怖い話のベーシック部分が完成した、と
言えるだろう。

現在、樋口氏の「超」怖い話執筆分は竹書房「超」怖い話0・∞(エンドレス)の二冊に
再編集されている。樋口氏執筆分を完全に収録しているわけではないが、樋口氏の怪談に
触れるに丁度良いものだろう。書き下ろしも収録されているので、お買い得である。
また、氏の骨太の小説も要チェックだ。


・加藤 一 <神の領域に至った、実験好きの大黒柱>
縛りが無い。
実験。
実は黒いユーモア精神を発揮。


「超」怖い話の生き字引。それが加藤一氏。
誕生から現在まで、変わらず「超」怖い話を書き続けている、ただ一人の人物である。
執筆・編集など八面六臂の大活躍を見せる加藤氏。「超」怖い話になくてはならない存在
だ。これは誰の意見でもそうだろう。縁の下の力持ちでもあり、影の番長なのは言わずも
がな。氏の「神の領域の編集作業」は、「超」怖い話名物である。

氏の書く怪談は、奇妙で不思議で怪しい話が多い。読んだものを煙に巻いたり、笑わせる
話が目白押しである。これは氏の「縛りのなさ」「実験精神」から来るものである。
それが形になったものが「思考停止怪談」であり、「心霊落語」などだろう。
だが、氏の書く「心霊落語」を始めとする笑える怪談だが、よく読むと黒いユーモアに満
ち溢れている箇所が多々ある。まるで英国の某集団のスケッチの様な。
やはり、加藤氏に縛りはないのである。

「弩」怖い話2 Home Sweet Homeで読者を恐怖に陥れた加藤氏。
まだまだ実験は終わらないようだ。



・平山 夢明(デルモンテ平山) <人の闇を追いかける、現代の鬼才>
ダーク&ヘヴィ
独特の不安定さ。
グロテスクに内包された美しさ。


平山夢明氏は、現行の三代目編著者だ。
「超」怖い話8から、現在のイプシロンまでの通算8冊(2005年4月現在)を担当
したことになった。

「超」怖い話での平山氏はダーク&ヘヴィな話の印象が強い。
「超」怖い話2の<管理人>や新「超」怖い話6の<皮膚>などが代表か。
何故氏の書く怪談はダーク&ヘヴィな話になってしまうのか。
理由は多分、平山氏が「人間の闇」を追い求め、それを記録しようとしているからではな
いだろうか?怪談は「世相を映す鏡の様なもの」であるから、現代の闇=人間の闇が深け
れば深いほど、平山氏の怪談が暗く重くなるのは当然であろう。
そして、氏の緊張感ある文章の存在を忘れてはいけない。人の心の一番敏感な部分を刺激
する氏の文章は、時に独特の不安定さを垣間見せながら我々に迫ってくる。
また、グロテスクな表現に内包された美しさがある作品が存在するのも平山夢明氏ならで
はだろう。美と醜は表裏一体であることが良くわかる。

現在は「超」怖い話の他に「東京伝説」「小説」「映画」と各方面で活躍する平山氏。
まさに「現代の鬼才」の一人だろう。
まだまだ氏の動向から目が離せない。



と、まあ、これが草案です。
手を入れるところとかまだまだありますね。