町田康『パンク侍、斬られて候』

読んだった!
数日かけて夜中読み進めていったのだが、実際読み出すと止まらなくて困ってしまった。


町田康氏の小説はある種独特のクセがあるのだけど(このせいで、拒絶してしまう人
もいる)、そのクセの部分が美味しい部分でもあるので、自分的に大満足の一冊。
町田康版時代劇とも言うべきこの『パンク侍、斬られて候』だが、時代劇であるとい
うのは少し早計。どっちかというと『伝奇小説』とも言うべきかもしれない。
もしくはSF。いや、そういう言葉じゃ言い表す事はできないな。
ズバリ『町田康の本』という言葉で表すのが一番手っ取り早く、正確かもしれない。
どこをどう切っても、町田康が溢れてくる一冊だからだ。
スピーディーでどこか斜に構えつつ、実は真っ当な正論の塊を投げかけられるのが
堪らない。娯楽作品でありながら、ここまで精神の奥深くまで侵食してくる小説という
のは中々ないだろう。スゲエ!


徹頭徹尾、完璧な町田康の世界に溺れられるこの『パンク侍、斬られて候』。
最後の一行を読んで、魂抜かせ!腰抜かせ!


パンク侍、斬られて候

パンク侍、斬られて候